実家が製造業を営んでおり、機械自体に興味があったことや、海外出張や海外赴任への憧れもあり、前職の人材関連会社から転職。入社後は、大阪機械部にて取引の希薄な顧客への新規営業を行うとともに、大手自動車部品メーカーの東海地区の営業担当も兼任。2020年からは、さらに豊田通商や海外現法と連携した大型プロジェクトにも従事。プロジェクトを離れた現在は、引き続き新規営業担当として忙しく国内外を飛び回る日々を過ごしている。
2021年、大阪機械部が担当する二輪車やバギー、ジェットスキーといったパワースポーツ製品を手掛けるメーカーのお客様が、北米向けオフロード四輪車の生産能力拡大のため、メキシコに工場の新設を決定。通常、大手自動車メーカーなどの場合、海外での工場立ち上げや設備導入などのノウハウの蓄積が豊富にあるため、標準化されたプロセスと支援体制が整っているが、今回はお客様にとっても初めての海外生産拠点新設プロジェクト。豊通マシナリーを含む豊通グループは、豊富な海外プロジェクトの経験を見込まれ、単なる設備導入の枠を超えた伴走型の支援が求められていた。


自身初参画となる
海外大型プロジェクト。
しかし、超えるべき
ハードルが山積…
私は海外ビジネスを希望して豊通マシナリーに入社し、東南アジア向けの輸出業務に携わっていましたが、これが初めての大型海外プロジェクトでした。モチベーション高く参画しましたが、そこにはいくつもの障壁がありました。
まず、通常であれば、年間3万台を生産できる規模の工場の立ち上げには、およそ3年の期間を要します。しかし、今回は「1年半後、来年の夏には設備を稼働させてほしい」というご依頼でした。さらに、メキシコで立ち上げる工場のマザー工場(生産技術やシステム、品質基準などのモデルとなる工場)はアメリカにしかなく、日本にいるお客様は、その設備を実際に作った経験がありませんでした。つまり、「プロジェクトを進めるためには早急に設備を作っていかなければならない一方で、まだ仕様も何もわからない」「加えて予算も限られている」といった状態でのスタートとなったのです。ただ、悩んでいてもプロジェクトは動きません。大阪機械部のメンバー総出で役割分担をしながら、まずはお客様とともにアメリカの工場を視察し、設備の構造や運用方法を学んだうえで、日本国内で同様の設備を製造できるメーカーを探し、提案することからプロジェクトがスタートしました。


多くの学びを得た、
3週間の現地出張
プロジェクト開始後も、生産準備は手探りの状態で進めざるを得ず、治具や工具などの手配漏れが発生する場面もありました。また、工場稼働後の製品販売計画が変更されたことで、生産準備計画も二転三転。事前の打ち合わせ通りに輸送や据付作業が進まないケースも発生しました。そのような中でも、私たちは各フェーズの区切りごとに、お客様を含めた関係者全員で反省会を実施しました。原因の分析と、次フェーズに向けた改善策の検討を重ねながら、プロジェクトを前進させていきました。
私自身も、現地での物流対応や据付工事の支援のために、約3週間出張しました。その中で、現地のローカルメンバーと日々議論を重ねながら、「お客様も我々も“いいものを作りたい”という想いは同じである」という共通認識を再確認することができました。個人的に最も大きな学びとなったことは、「現地に行って、直接話せば分かり合える」という実感です。たとえメールでやり取りをしていても、伝わっているようで伝わっておらず、「なぜこの提案なのか」「どのような背景があるのか」といった本質的な部分は、現場で顔を合わせて話して初めてしっかり伝わることが多いと痛感しました。やはり、“現地・現物・現実”という考え方は非常に重要だということを、身をもって学びました。
一方で、現地にいるからこそ、うまくいっていないことがあれば矢面に立たなければならず、逃げ場がないという厳しさも実感しました。同時に、現地法人のスタッフがどれだけの覚悟と責任感を持って現場に立っているか、現地法人スタッフの苦労を肌で感じる貴重な経験にもなりました。
今回のプロジェクトに限らず、今はリモートでの会議が当たり前のようにできるので、「設備さえ送れば、あとは現地法人が対応できるだろう」という考え方もあるかもしれません。しかし実際に現地に足を運んでみると、現地法人も日々の業務に追われる中で、新しい設備についてじっくり学ぶ時間を確保するのが難しいという現実があります。だからこそ、我々が現地に入り、共に作業しながらサポートすることで、現地のメンバーも主体的にプロジェクトに関わるようになり、現地法人の存在意義もより大きなものになっていく――その手応えを強く感じました。個人的にも初めてのプロジェクトで、現場に行ったからこそ、足りない部分や改善すべき点が見え、非常に意味のある出張になりました。
現地での朝礼の様子。
多くのスタッフが
取り組む荷下ろしの様子。
設備のケースが大きく
急遽、リフト2台を
使用して対応作業スケジュール。
数多くの作業項目を
同時並行で進行していく


担当領域の
プロジェクトを完遂。
この機会で得た
学びを活かし、
現地を巻き込んだ
新規獲得営業へ
少なからずトラブルはあったものの、プロジェクトはなんとか最終局面へ。現地工場の生産準備や現地で働く方のトレーニング期間を考慮し、工場の引き渡しをいくつものエリアに区切って実施しました。スタート時点では、手配する設備や部品の全容が見えず、超短期間で納められるかという状況でしたが、最終的には、設備の据付作業と生産をなんとか成立させることができ、超短期間での複数ライン同時立ち上げを実現することができました。
工場稼働のニュースは日本でも現地でも取り上げられ、私自身、これまでにない充実感を得ることができました。現在、私はプロジェクトを離れましたが、豊通マシナリーとして、現在も新規車種の生産ライン導入のみならず自働化の提案などで顧客の工場運営を引き続き支援しています。
一方、私自身は、このプロジェクトで得た経験を糧に、新規営業に取り組んでいます。先日は、タイ・マレーシア・インドネシアの現地法人を訪問し、現地で働くスタッフと顔を合わせてコミュニケーションを取りました。メキシコでの経験から、現地も一体となったチームで新規開拓に取り組む体制をつくることで、より早くお客様の困りごとに気づけると考えたからです。
また、このプロジェクトを経験する中で、営業活動においても、相手(お客様)について深く理解することの重要性を強く感じました。相手のことをよく知らないまま「何かお困りごとはありませんか?」と尋ねても、多くの場合「特に困っていません」と返されてしまいます。しかし、実際には誰しも仕事をしていれば、何かしらの課題や困りごとを抱えています。だからこそ、営業として最も大切なのは、「この人なら相談してもいい」と思ってもらえる信頼関係を築くこと。そこから初めて、本音の課題を引き出し、解決に導いていくことができるのだと考えています。そう考えれば、私たちのビジネスの可能性はまさに無限大です。今回のプロジェクトで得た学びを活かしながら、これからも新たな挑戦を楽しんでいきたいと思います。